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「……イイぜ。認めてやる。お前達は本気で戦うに値するってな」
白臣の口元に笑みが浮かぶ。
「だが、最強はオレだ」
「どうしてそこまで強さにこだわる」
久遠の問いに、笑みを浮かべていた表情が一瞬固まる。
「…強くなきゃ意味がねえ。最強でなきゃ何も守れねぇ。オレはあの時、誰よりも強くなると誓った」
白臣の声のトーンが一つ、冷静さを取り戻すように静まった。直後、彼の全身からとんでもない量の炎が溢れ出す。橋姫ですら、思わず顔を覆うほどの先ほどまでとは比べ物にならない熱量。
〈どうやら本気になったようですわね。久遠様、こちらも手心を加える余裕は消え失せた様ですわ〉
橋姫は目を細める。その表情から余裕が消えた。久遠も自然と全身に力が入るのを感じていた。
おそらくはここからが本番。気づけば、白臣の全身は眩い炎に包まれ、もはや人の形をなしていなかった。
形容するなら、神。地上に降臨した炎神。まさに彼の二つ名通りの姿だ。
「天衣の焔」
炎神と化した白臣は、眼前に佇む敵を睨みつけ、宣告した。
「開戦だ」
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