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お祭りは規模こそ大きくないものの、それなりに人出もあって活気づいているようだった。祭り独特の浮かれた空気の魔法で、屋台で売られている食べ物はどれも美味しそうに見える。少しならお金も持っているし何か買って帰ろうか、と屋台を物色していた時、
「ユキ?」
人混みの中からその声が聞こえた。
振り向いて、わたしは思わず息を呑んだ。
「……あ」
高校の時付き合っていた元彼だった。
「久しぶり」
そう言って、彼は笑った。口角がきゅっと吊り上がる、昔と同じ笑い方だった。
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