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目が覚めたら、黄色のカーネーションが届いた。その時はまだ、その花が届いた意味が分からなかった。誰から届いたのかもわからぬまま学校に向かった。
桜崎忍は学校で人気者だった。何をやらせても一番。その事で皆から、信頼を受けていた。いや、うけていたはずだった。
その日学校に行くとなにかが変わっていた。教室の中の空気がおかしかった。忍は当たり前のように席に着き、当たり前のように自分の身の上話をしようとした。そのときに気づいた。やっとわかった。うざがられてたんだと。何をやらせても一番という存在は誰だってうざいに決まっている。すごいだろ?と見せつける忍の事が嫌だったのだ。軽蔑していたのだ。だからなのだろう。忍が他の人と話そうとすると、その人は逃げるのだ。
一年経ったある日、いつものように独りぼっちで登校していると、近くで、殴られている男子を見つけた。 忍はそこで立ち止まる。殴られているのは、自分の事を避けている男子だった。
放っておけない。いくら避けられていたとしても、見逃せない。その素直な正義心にやられた。そこに割って入り、止めた。殴られたけど、抵抗してなんとか場しのぎをした。そいつは涙を流しながらこう言った。
「何で助けたんだよ。俺、お前を避けてるのに。助けない方が良いはずなのに。何でだよ。」
「何でだろう。ただの正義心に負けたからかな。」
そう言うと、そいつは謝罪した。
黄色のカーネーションを送ってきたのもそいつだったらしい。クラスメートに命令されたかららしい。
黄色のカーネーション-その花言葉は軽蔑。それを知ったのは忍が高校二年生になってからである。
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