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目が覚めるとそこには、、、
目が覚めるとそこには
真っ白な景色が広がっていた。
眠りについたハズの自分の部屋ではない、
家具1つない真っ白の部屋だった。
『またここか、、、』
男はこの部屋で
目を覚ます事に慣れっ子だった。
立ち上がり一直線に歩きだすと
おもむろに壁を叩き始めた。
『たしかこのへん、、、に、、』
[ドン、ドン、ドン、ポコっ]
慣れた手つきで壁にあった隠しスイッチのようなものを押すと
昨晩眠りについた自分の部屋に戻れた、
時計を見ると深夜4時半手前。
いつもあの部屋から戻って来ると
その時間だった。
男は布団に戻ると
アラームが鳴るまでまた眠った。
翌日また真っ白な部屋で目を覚ました。
『あ、良い事考えた。』
その日はスイッチは探さず
妄想の世界に入り込んだ。
わたしはだれ?わたしってなに?
ここはどこ?あなたはだれ?
地球、、、宇宙、、、、自然、、、
愛、、、夢、、、、金、、、社会、、、
親、、、他人、、、普通、、、変、、、
天才、、、異常者、、、生きる、、、死ぬ、、、
『あ、良い事思いついた!』
男は隠しスイッチを押し
自分の部屋に戻り、時計を見たが
やはりいつもと同じ時間だった。
『やっぱりあの部屋、
何も持ち込めないけど
時間は経たない、、、 』
物何一つ無い真っ白な空間。
普通に考えれば苦痛なその空間も
”妄想”というオモチャを持っていた男にとって
そこは絶好な遊び場だった。
『さっきの妄想小説にしちゃおう』
男はノートパソコンで
何か打ち始めた。
カタカタカタカタ
《目が覚めるとそこは
真っ白な空間だった。》
カタカタカタカタ
《眠りについたハズの自分の部屋ではない、
家具1つない真っ白の部屋だった》
カタカタカタカタ
《またここか、、、》
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