増殖人間

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「……これはどういう事だ」 「見ての通りだ。俺の身体は切れた所から再生するらしい」 七氏が言うと研究者は飛び跳ねた。 「すごい、お前はすごい人間だ!私に切れた指を譲ってくれないか?」 七氏は笑みを浮かべた。 どうせ捨てるものだ、商売道具にしてやる。 「いいだろう。せっかくだ、指以外でも再生するかここで試していこう。 切れた部分はお前に譲ってやる。だが大事な身体だ、タダとは言うまいな」 「もちろんだ。それ相応の金額を用意しよう。麻酔を持ってくるから待っていてくれ」  七氏は手の指、足の指、耳、などを切り落としたが、何処を切っても再生した。  家に帰ると七氏はつぶやいた。 「最高だ。金も儲かったし、これであいつにも高価な指輪を買ってやれる」  七氏には付き合って二年になる彼女がいる。 もちろん七氏の本性など知らない純真無垢な女性だ。 「一緒に指輪をつけるのさ、お互いの指に」 気を良くした七氏は、うっかり指をやけどしてしまった。
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