増殖人間

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 深夜。 コツコツという音が七氏の眠りを妨げた。  こんな夜中に何の音だ?  七氏は少々苛立ちながら起き上がった。部屋の電気をつけて音の方を見ると七氏は腰を抜かした。  ゴミ箱の中。切った指からニョキニョキと体が生えてきているではないか。そして一本の指から一人の人間が出来上がった。 「なんだこれは」 七氏は呆然とする。  すると、指だったものが言葉を発した。 「だれだ、俺を切り落としたのは」  七氏は思った。 こいつは自分自身だ、と。  昼間に切り落とした俺の一部もまさか……。  切った跡が一瞬で再生する分、切られた方の再生にはタイムラグがあるということか。  七氏は青ざめ、自分と同じ男に言った。 「……同じもの同士、仲良くしようじゃないか」  すると男が言った。 「二人もいらないだろうが」  
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