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彼は彼女と目を合わすことはなかった。
たぶん、今彼の心の中に彼女はいないのかもしれない。
――やっぱり私のせいなのだ!
思わず肩を震わせた。
――私がもっと自信を持っていれば、こんなに彼を疑わずに済んだのに。
彼に申し訳ない気持ちを感じながらも、一方で早く本当のことを聞かせてくれない彼にやきもきしていた。
2人の狭間に佇む机は、やけに居づらそうに見えた。
それ以上に、そこに机があることを忘れてしまいそうなほど、彼女は彼の動きを凝視していた。
じっと・・・彼女はじっと彼を見つめていた。
微かな時間の流れの中で、恐怖と不安の波が彼女に押し寄せてくる。
微動だにしない彼女はその波に飲み込まれていった。
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