2人が本棚に入れています
本棚に追加
目が覚めると、そこは真っ暗な部屋だった。
暗すぎて、どのぐらいの広さなのかも分からない。
自分の部屋ではないことは確かだ。
どうして自分がこんな所にいるのか、思い出すことが出来なかった。
私は、ここが何処なのかを知る為に、とりあえず手探りで部屋を散策してみた。
しばらくすると、携帯電話が鳴った。母親からの着信だ。
「もしもし、お母さん?」
「明美、聞こえる?」
「うん。今ね、なんか真っ暗な部屋に閉じ込められてるみたいなの」
私がそう言うと、電話はプツッと切れてしまった。
「……?」
その瞬間、次は父親から電話がかかってきた。
「お父さん?」
「明美、あんまり心配かけるんじゃない。早く帰って来なさい」
「さっきお母さんにも言ったけど、真っ暗な部屋に閉じ込められてて、どうやって帰ればいいのか分からないの」
しかし、再び電話は一方的に切られてしまう。
両親に対して不満を感じていると、今度は弟の圭介から電話がかかってきた。
「圭介?」
「姉ちゃん、何やってるんだよ?」
「あのね、目が覚めたら真っ暗な部屋にいて、ここがどこだか分からないの。閉じ込められてるみたい」
「姉ちゃんだったら、何とか出来るだろ!」
「何とかって……そんな無茶なこと言わないでよ!」
「俺、姉ちゃんのこと信じてるからな」
「ちょ……」
そう言って、弟の電話も切れてしまった。
「何なの? うちの家族ときたら……」
そんな不満をぶつくさ言いながら、再び部屋を散策しようとすると、今度は親友の美香から電話がかかってきた。
美香なら話をちゃんと聞いてくれるかも知れないと思い、期待を胸に弾ませて電話に出る。
最初のコメントを投稿しよう!