目が覚めると?

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 目が覚めると、そこは真っ暗な部屋だった。  暗すぎて、どのぐらいの広さなのかも分からない。  自分の部屋ではないことは確かだ。  どうして自分がこんな所にいるのか、思い出すことが出来なかった。  私は、ここが何処なのかを知る為に、とりあえず手探りで部屋を散策してみた。  しばらくすると、携帯電話が鳴った。母親からの着信だ。 「もしもし、お母さん?」 「明美、聞こえる?」 「うん。今ね、なんか真っ暗な部屋に閉じ込められてるみたいなの」  私がそう言うと、電話はプツッと切れてしまった。 「……?」  その瞬間、次は父親から電話がかかってきた。 「お父さん?」 「明美、あんまり心配かけるんじゃない。早く帰って来なさい」 「さっきお母さんにも言ったけど、真っ暗な部屋に閉じ込められてて、どうやって帰ればいいのか分からないの」  しかし、再び電話は一方的に切られてしまう。  両親に対して不満を感じていると、今度は弟の圭介から電話がかかってきた。 「圭介?」 「姉ちゃん、何やってるんだよ?」 「あのね、目が覚めたら真っ暗な部屋にいて、ここがどこだか分からないの。閉じ込められてるみたい」 「姉ちゃんだったら、何とか出来るだろ!」 「何とかって……そんな無茶なこと言わないでよ!」 「俺、姉ちゃんのこと信じてるからな」 「ちょ……」  そう言って、弟の電話も切れてしまった。 「何なの? うちの家族ときたら……」  そんな不満をぶつくさ言いながら、再び部屋を散策しようとすると、今度は親友の美香から電話がかかってきた。  美香なら話をちゃんと聞いてくれるかも知れないと思い、期待を胸に弾ませて電話に出る。
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