426人が本棚に入れています
本棚に追加
常に薄暗い永遠の薄暮。
窓の外に浮かぶ複雑な城のシルエットを眺めながらアタシは内心首を捻る。
背中にはほんのり熱を持った逞しい腕の感触。
そして、首筋に埋められた整った男性の顔。
……つまり、アタシは…………抱きしめられている。正面から思い切り。
「メンシス……頼む……少しだけこのままで…………」
「…………わかった」
でもって相手は、全体的に線の細い我が一族には相応しくないほどの体格の持ち主、名はディオン。
逃げようとするだけ無駄だよね、コレ。
「ありがとう…………」
いいんだけどね、別に?
イメージを崩さないためには、アタシもこのシーンならこうして抱きしめられてるべきだと思うし。
慈愛に満ちた表情でディオンを受け止めてあげるべきだよ、ここは!
ただ……さ……
「おまえだけだ、メンシス……」
アタシの体、男なんだけど。
黒衣を身にまとう均整の取れた体つきのイケメンと、黒に白いレースをあしらったコートを羽織る華奢で理想的美しさの美青年。
ガラス窓に映る姿は耽美で鼻血ものだけど…………アタシなんだよね、残念ながら。
うーん…………。
これって、ノーマル? それともBL???
萌えるべきか震えるべきか。
……ああとにかくカメラが欲しいっ!!
最初のコメントを投稿しよう!