3 成長したのでBL解禁ですっ!

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 ケットシーを地面に下ろし、慌てて筋肉質な背中をさする。  急にどうしたんだろう。ヴァンパイアらしからぬ頑強な肉体を誇るディオンなのに……。 「苦しいのかな……ディオン!?」  小刻みに震える背中を撫でながら、伏せられた顔を覗き込む。 「ディオ……………………っ!?」  ギラリと瞳が光った。  それはまるで……欲望を剥き出しにしたあの日のエスさんを思わせる。  吹き荒ぶ欲望の嵐。 「え…………!?」  何が起こったのかわからなかった。  ボクの目にはスローモーションのように、牙を剥くディオンが映った。  大きな手でボクの華奢な両肩を掴み、叢に押し倒す。  そのままのしかかってくる確かな重み。  息のかかる距離にある、鋭い翠の瞳。 「………………ボクを……食べるの?」  まったく。『美貌』の宿命は強烈だね。  まさか、ディオンまでが食欲に負けてしまうなんて……。  こういう顔は今までたくさん見てきた。切羽詰まった飢え。  かじられそうになるのも初めてじゃない。  避けようと思えば、避けられた。  ボクだってヴァンパイアだ。生まれもった身体能力は超人的だし、体が軽い分、スピードでディオンに勝っている。けど。  油断していたのもある。  それ以上に。  突き放せなかった。いつもの彼とはあまりにも違っていたから。  底光りする瞳の奥に、縋りつくような切なさがある。
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