3 成長したのでBL解禁ですっ!

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「…………いいのか……………………?」  絞り出されたひび割れた低い声にも、不思議な切なさが滲んでいる。  食べられるのは困るけど……エスさんとの約束は抜きにしても……まだボクこの世界を堪能しきってないし…………でも…… 「……少し、だけなら………………」 「っ!!」  こんなに苦しそうなディオンは見るに忍びない。  指一本分くらいなら……あげてもいいかな……。  別に仲がイイわけじゃないし、大恩があるわけでもない。  だけど、ディオンはボクの従兄で、守ってくれて……城にいる時だって今だって、ボクを特別視したりしなかった。  堅物な分、公平で裏がなくて。頼りになる身内だ。  だから、 「…………ディオンなら……いいよ」 「っ! シシー……!!」  ボクはそっと瞳を閉じた。  首筋に触れる息。  ヴァンパイアの息にしては、なぜだろう、熱く感じる。 「シシー……」  鋭い牙を生やした凛々しい口元が緩く開かれ、ゆっくりと近付いてくるのが肌で感じられる。  目を閉じているのに。  暗視画面のように、朧気な輪郭が眼裏(まなうら)に浮かび上がり、ボクに危機を知らせてくる。 「…………っひ!?」  思わず喉の奥に悲鳴がへばりついたのは、しかし、ディオンのせいではなかった。   「みゃーーーん」  突然、ザラリとした舌に指先を舐められた。 「ぁ…………なんだ……」  驚きのあまり開いた瞳にまず写ったのは、ボクの悲鳴に驚いて身を引いたディオン。  続いて、投げ出した腕にすり寄るシルバーの子猫。
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