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その下6階は、プリムス公爵家が東棟を、エイオン公爵家が西棟を、そしてレグルス侯爵家が南棟、ビス侯爵家が北棟を占有している。
各棟の管理者でもあるその四家は、俗に四大貴族と呼ばれる。強大な権力と魔力を持つ高位ヴァンパイアだ。
生活棟の棲み分けはそのまま、王宮から見た領地の方角にもなっていた。
各棟は1フロアあたり広大な面積が備えられているうえ、どんなに多くても、各家同時に在籍する子どもは5人にも満たない。側仕えや料理人、清掃等の使用人の居住区画を含めても、十分な広さが確保されていた。
ちなみに5階以下は各家の地位に応じて部屋が与えられている。
5階は、各棟1フロアに二~三軒、4階は各棟1フロアに四~十軒という具合だ。
階が上がれば上がるほど高位のヴァンパイアが、階を下がれば各種族長の子息などの他種族モンスターが増えていく。
「お帰りなさいませ」
踊場から繋がる重厚な金属製の扉が音もなく開き、ボクを迎え入れた。
「シシー様、それは……?」
居住棟におけるレグルス侯爵家の執事、スビトさんが、大仰に折っていた腰を伸ばす。
と同時に訊いてきたのは、案の定ボクの腕の中の子猫のこと。
「拾ったんだ。今、ディオンが飼い主を確認してくれている」
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