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「そうでございますか。ケットシーは何かと便利な魔物でございますからな。そのまま当家で飼育してもよろしいかと」
「いや、飼い主がいるなら返すよ」
居間へと移動しながら、ボクは子猫の背中を優しく撫でた。
「シシー坊ちゃまがそう仰るのでしたら仕方ございませんな」
エスさんの上司にあたる、レグルス家第三執事のスビトさんは、渋い壮年の男性だ。
成長の安定した成人ヴァンパイアがあそこまで外見年齢を重ねるには、いったい何百年必要なのやら……。
ボクには太刀打ちできないほど経験を重ねてきているのは確かだ。
とはいえ、前世の感覚でいえば外見年齢40歳前後。スビトさんは落ち着きはらったイケオジで、整えられた顎髭が良く似合っている。
喋り方は完璧におじいちゃんだけどさ。
「ところで坊ちゃま。旦那様と奥様よりそれぞれ通信の時刻指定が来ております。奥様がディナーの前、旦那様がご就寝前でございます」
「また……? 毎日連絡する必要はないと聞いていたのに……」
それに、あの通信方法、嫌いなんだよね。
「それだけ坊ちゃまを大切に思ってらっしゃるということでございましょう。若も嬢も子煩悩で結構結構」
ふぉっふぉっふぉ
言葉だけ聞いてれば好々爺なのにね。そんなイイ声で朗々と言われても……渋カッコイいだけだよマジで。
腐女子の妄想守備範囲の広さ(イケメン限定)を舐めてもらっちゃ困る。
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