427人が本棚に入れています
本棚に追加
「……そうなんだ。じゃあこの仔はボクが飼っていいの?」
「いや……直接コイツに訊いてみようと思ってな。まぁ、どうせまだ大して喋れないだろうが……」
微妙に視線の合わない気持ち悪い空気は、思いがけない一言に打ち破られた。
反射的にボクはディオンを真っ向見据える。
「喋るの!? この仔が??」
そっか……。長靴をはいた猫だもんね?
「このままでは無理のようだ。明日にでも詳しいヤツに喋らせる方法を訊いてこよう」
そう言うディオンはすっかりいつもの落ち着きを取り戻しているようだった。
けど……ボクと目が合わない。
律儀な彼らしくないと思う。
どうしても、見つめるボクの方を見ようとしない。
「何か特殊な道具が必要なのかもしれない」
子猫を中心に、子猫を見ながら話しているのだから当然といえば当然だけれど……。
感じる、違和感。
「詳しいって……飼ってる家があるの……?」
「あぁ。成猫は6軒登録されていた。
明日、念のためその6軒すべてに確認してみる。産まれる可能性もゼロではないからな」
「そっか……」
「……今夜はソイツ、任せてもいいか?」
「いいの!?
おいで、にゃんこ」
ケットシーがどの程度貴重な生物なのか知らないが、この可愛さが殺人級なことは確かだ。
最初のコメントを投稿しよう!