永遠処女

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 あなたがいいなと転校生は言った。 「え、なあに」  昼休み、誰もいない理科室。購買のパンのいちごジャムが唇のはしっこでべたついている。 「新しい妹を探しているの。それがあなたならいいなって思うのだけれど」  分厚い眼鏡に隠された、大きなかわいい瞳。  あたしは動けなくなってしまう。 「連れてってくれるの」 「そうよ」 「どこへ」 「どこかへ」  教室じゃ見せられない類の笑顔を浮かべてみせる。 「ここじゃないなら、あたしは平気」  決まりね、と転校生が微笑む。  ほほえむ。  そうだ。あたしはずっと、どうしてみんな気がつかないんだろうと思っていた。  普通の中学生? このこが? まさか。  あたしたちは手をつないだ。  退屈な五限目、食べかけのジャムパン、ひとりっこのあたし。  全部まとめてサヨウナラ。  あたしたちは深夜までひとっとび。
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