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巨人の住まう洞窟
1878年、あの冬は最悪の冬だった。
中東支配における優勢を保とうと考えた我がイギリス軍はアフガニスタンへと侵略の歩みを進めた。
一兵の私からすればアフガニスタンという国に対する恨みなど全くない。ただこの国を手に入れることが敵国ロシアとの勝負に必要だから、それが我が国を守ることになるのだと教えられた。
ただ、湿っぽく薄暗い冬を経験してきたイギリス人たちにとって、カラカラとしたアジアの冬は、その心を狂わせ高揚させるものであったらしい。我々は何の罪もないアジア人たちを殺して回った。男は肉体労働をさせたあと殺し、女は犯し尽くしたあと殺した。
国を守るという大義を盾に、我々は虐殺の限りを尽くした。
私は何度も自分に言い聞かせた。イギリスの家族たちを守るためには仕方がないのだと。今目の前で血を流している相手は同じ人間ではないのだと。
そして、あの少女に出会ったのもその冬のことだった。
侵略対象の要地というわけではない。ただ進行ルート上にあったから、そんな理由で我々は名もない小さな村を焼き払った。
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