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「参ったね、、、
君はまるで『海賊』に出てくる奴隷商人ランケデムみたいだな。
となるとこっちの細い子は奴隷として売り込みをかけられるメドゥーラのようだ」
と、さらに笑った後でひと息ついて、
「ルーンヌィに何があったかは倉木さんから詳しく聞くけど、実はうちの団にも男子ポワントクラスを作ろうと思ってたところだ。
、、、君は当初ニキヤ役を得ていた美月君だね?」
「は、、、い」
美月は逸香からジャージを受け取り、恥ずかしそうに袖を通しながら答えた
「今後も聖ルシアンにはいられるの?」
「いえ、、、一度ついたパテルと契約の解除したんですけど付きまとわれてて。
倉木先生に相談して目立たない認可校に移るつもりです」
「そうか、、、。
じゃ、逸香君の言う通り、紅羽君への罪滅ぼしにうちで預かるよ。
美月君がよければ、ルーンヌィの認可がある今日明日にでも形ばかりのパテル契約をしよう」
慈しむような優しい目で美月を見ると、
「初の男子ポワントとして広告に一役かってくれるかな?」
秀伍は、やや首を傾げて美月に微笑み続けた
「安心して、メドゥーラ。
ここには団員の為にと用意した部屋もあるし、僕は紳士だよ」
美月は忽ち嬉しそうに髪を撫で付けて逸香を見た
そんな美月を今度は引っ張って下がらせ、
「よろしくお願いします」
と、それまでの逸香とはまた違い、表情なくも頭を下げた姿をしばらく見つめた秀伍は、
「君もまた何かに贖いをしているの?」
と穏やかに笑って訊いた
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