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ルーンヌィ・バレエスクールの認可取消が知らされる直前、
「あの、、、逸香君?」
レッスンの為にフロアへやって来た美月は、黙ったままの逸香に腕を取られ、青ざめながら棟の外へ出た
スクールの専用門の手前まで来た所で、
「この間の画像を使って僕が君のパテルを脅し、ルーンヌィの認可を取消させた事、もう知ってるだろ?」
表情なく訊いた逸香に
美月は顔を歪めて下を向いた
「君と会長の契約も解除させた。
それで、、、君は今後どうするつもり?」
「、、、彼は、、、
『君とは契約を一度解除したけど、他の認可スクールに移ったらまた契約しよう』って言って来てる、、、。
僕のこと、諦めてないみたい」
しかし、ぱっと上げた美月の顔は歪んだままでもはっきりと、
「僕はもうあの人とは二度と契約したくない。
だから倉木先生にお願いして別の認可スクールに移る手続きしてもらってるんだ」
逸香を見据えて答えた
「、、、居場所はすぐバレちゃうだろうけど、その度に移ってもいい。
自分の力で舞台に立ちたいから」
その言葉を受け、逸香は再び美月の腕を取って歩き出した
「逸香君? あ、あの、、、逸香君?」
うわずる呼び掛けを無視して門外に出、通りで止めたタクシーに美月の細い身体を押し込み、逸香が告げた先は、
『Shugo ballet company』
というスタジオの住所だった
レッスンフロア入り口にいた団員らしき人にスクール名に続いて名前を告げると、コンクリートむき出しのフロア奥から団長の秀伍を呼んでくれた
逸香と美月の二人を見て意外な顔を見せたものの、大股でやって来た秀伍は穏やかに笑った
「驚いたな。君達から訪問を受けるなんて」
逸香は背の高い秀伍を見上げ、いきなり
「あなたも発表会で紅羽の不調に気付かず、申し訳ない事をしたと思ってますか?」
徐に聞いた
「え? 紅、、、。あ、、、ああ」
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