スキルドとシルフィ

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 でも、いつか王子様が現れて、悪魔を打ち倒し、私を救い出してくれる、そんなことを考えていた。  2人は確かに、私を苦しみから救ってくれた。  だけど、悪魔を打ち倒してはくれなかった。  それどころか、兄は悪魔なんかじゃないと、私に訴え続ける。  スキルドでさえも、私の前で嬉しそうに、兄を称賛した。  彼は言った。ヴィレントは、恩人であり、憧れだと。  私は耳を塞ぎたくなった。  やめて。その人は悪魔なの。2人は騙されているのよ。  兄が悪魔でないのなら、私の5年間も続いた苦しみは何だったのか。  あなたたちが褒め称えるその人に、苦しめられ続けた私はいったい何なのか。  なぜ兄は、私以外を苦しめることがないのか。  それでは、まるで私の方が悪魔のようじゃないか。  兄が悪魔として裁かれなければ、私の世界は、私の価値観は、壊れてしまう。  だから、2人の言葉を絶対に認めるわけにはいかなかった。  それでも、兄もスキルドもいない場所で、私は生きられない。  心にしこりを残したままでも、この生活を続けるしかなかった。  いつか本当の救いが訪れると信じて。それが、どれほど身勝手な思考か自覚することはなく、私は祈り続けていた。
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