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兄は両親が亡くなったその日から、復讐を考えていたのかもしれない。魔王軍とベスフルへの復讐を。
それは、4人での生活が始まり、1年ほどの時が流れたある日。
仕事を探して隣の街へ向かうべく、私達4人は街道を歩いていた。
度々、遅れがちになる体力がない私と、それを励ましながら手を引くスキルド、呆れ顔のシルフィ、黙って睨む兄。いつもの光景だった。
数日の道のりになるため、暗くなるまで歩いた後、夜は簡易宿場に泊まり、日の出を待って出発することを繰り返す。
出発して2日目の昼頃のこと、街道の先に怪しい一団を見つけ、4人は立ち止まった。
剣を抜いた男達に2人組が囲まれている。そういう風に見えた。
今いる場所から、その一団のいる場所はちょうど下り坂になっていて、様子がよくわかった。
「野盗か?」
「まっ昼間から、こんな目立つ場所で?」
スキルドとシルフィが言った。
街道を行く人々を襲い、金品を奪う集団が出ることがあると、私は話には聞いたことがあったが、実際に出会ったことはなかった。
もし野盗だとしたら、私達にも危険が及ぶかもしれない。私は不安げな顔でスキルドの手を握った。
「俺が様子を見てくる。お前たちは待ってろ」
兄は恐れることもなく、1人でその一団の元へと速足で向かっていった。
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