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オレにもやらせろ、バカヤロー!
僕は康司の家に居る時間が多くなった
学校が終わり、家に着くと教科書と問題集を持って上の階に行き、タバコの煙が充満する康司の部屋で朝まで麻雀をやるのが定番だった
コイツの彼女はサユリという名前で、奥さんの様に夕飯の支度をしたり、風呂を沸かせたり、洗濯掃除と何でもやった、何せかなり昔の事だから顔はボンヤリと覚えているけど、まぁまぁ可愛かったような…
でも、コイツもヤンキーだったけどね
家政婦なのか、女房なのか…
サユリも複雑な家庭で育ち、康司と出会ったのを機に家を出て康司の所に転がり込むように生活してるし…
コイツら学校行かなくていいのかよ…
僕は康司達が羨ましく思った、マジで!
行きたくないなら行かなくたっていい、最低限の事さえ出来れば生活は何とかなる、それがヤツラの考えだった、だが僕にはそんな考えはとても出来ないよ…
羨ましいと思う半面、コイツらの様にはなりたくないと思いつつも、気がつけばタバコを咥えて牌とにらめっこする毎日…
「康司、お前卒業式にも出ねえのかよ」
いつだったか、僕が康司に聞いてみた
「あ、オレ卒業出来ねえらしいよ。だって出席日数足りないから無理ってこの前言われたからさぁ」
ハイライトの煙を吐きながら役満狙いをしていた、クソ生意気なヤツだ!しかも中学中退だよ?いねえよ、そんなヤツ!
ここに集まるメンバーは僕の他に、同じクラスの五十嵐というヤツがたまに来て卓を囲んだり
五十嵐は卒業後は僕たちの住むマンションの向かいにある工場で就職が内定している
僕のクラスでは、中卒で働き始める唯一の存在だったかな…
このメンバーで朝だろうが夜だろうがお構い無しに卓を囲み麻雀漬けの日々を過ごす
下の階には僕の家があるが、ほとんど帰らずに康司の部屋で寝て、それから学校に行くという生活を続けた、中3のやる事じゃないよね…
腹が減ればサユリが飯を作ってくれる
風呂に入りたいとなれば風呂を沸かし、気がつく女だった
夜は家では観る事ができなかった深夜番組を片っ端から観ては興奮していたっけ
「サユリー、オレにもヤラせろ~」
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