波多野、ノート貸して!

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波多野、ノート貸して!

今思えば僕は天然だったのかも知れない 僕の発する言葉にクラスが笑っていた いや、正確には笑われていたのだろうか?まぁ、そんな事はどっちでもいい ちょっと抜けているところがあって、それが僕が発言するとクラス中が笑っていた いじられていたのだろうか… 笑わせてるのか、笑われているのかなんてどうでもよくて、それで自分が注目されるのならばどうであろうと構わない 目立つのが好きだったんだ まぁ当時はそんなヤツらばっかだったけど 僕は波多野から借りたノートを必死に書き写していた 休み時間が終わり、数学の授業が始まる 先生にが黒板で数式を書いていようが知ったこっちゃない とにかく次の授業の理科までに書き写さねばならんのだ! 数学の教科書を広げ、あたかも教科書を見ているような素振りだけして、ノートを必死になって書き写すだけ、それしかない でも波多野の字は丸っこい字だなぁ 当時流行った丸みがかった字を真似したんだろう 対する僕の字は、書きなぐったかのような汚ない字だ しかも急いで書いてるから余計に汚く見えるし… 書いてる僕でさえ、何だこの字は?というぐらい解読が出来ないような文字なんだから、他人が見たら「インダス文明かよ!」て言われた事もあったな 「おーい、小野!ちゃんと黒板見てるか、おい」 数学の池田先生… ガッシリして柔道部の顧問をしている 普段は温厚だが、怒ると手がつけられない程の暴れっぷりを見せつける 背中を丸出しにされ、ぱーーーんとお相撲さんがよくやる手形を背中に叩く 痛いのなんのって… 「はい、ちゃんと書いてまーす」 僕はそう答えながらまだ波多野から借りたノートを書き写していた、必死こいて 授業を受けながらも、別の科目の宿題を丸写しするのは難しい 「さっきから何やってんだ、お前?」 そう言うと池田は僕の机の前まで来てノートを覗いた 「あっ、ちょっとそれ…」 僕は池田にノートを取られたっ 「お前、これ理科のノートじゃないか!今は数学の授業だ、バカたれが!」 そう言って教科書の角で頭をカツーンと叩かれた 「いって~っ!」 僕は頭を抱えた 池田め、何も角で叩く事ないだろうに… しばらく頭が痛かった 皆から笑われるわ、頭は痛いわで散々だ!
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