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傍まで来た宏実さんの手を引き、バランスを崩した彼女をそのままソファに押し倒した。
「わっ……なに、するの?」
「なにって……捕食です」
「何それ。ちょっ、待って、プレゼント用意してきたの」
私の物騒な発言に慌てるサンタさん。
そっか、今日はクリスマスだった。
ソファに組み敷かれ、私に上から見下ろされる体勢になっても、何とか自分のペースに戻そうとする宏実さん。
でも。
「私がいま欲しいのは、宏実さんだけです。ダメですか?」
葛藤する彼女の瞳を見つめながら言えば、その中に蕩けた色が混ざるのが見えた。
静かな室内では聞こえてしまいそうな程に、バクバクと心臓が鼓動を繰り返している。
宏実さんの潤んだ瞳が、獲物を見下ろす獣のような私を見上げている。
彼女は渇いた唇を舌先で舐めて、絡んだ視線そのままに、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「……いいよ」
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