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宏実さんからもらったキスは、唇に軽く口付けるものだった。
それを今度は深い角度に変えて返すと、彼女の手が私の服を掴んだ。
唇の隙間から舌を差し入れると、それに応えるように絡めてきてくれた。
宏実さんとのキスって、どうしてこんなに甘いんだろう。癖になる。
「んんっ」
弾力を確かめるように舌同士を擦り合わせ、ちろちろと舌先を舐めて強く吸えば、鼻から抜けるような声が聞こえた。
柔らかい唇を一度吸って離れると、名残り惜しげに銀糸が2人を繋いだ。
重力に従いぷつりと切れて落ちていく、ただそれだけなのに、そんな光景にさえ目を奪われる。
ゆっくりと宏実さんが目を開けた。
猫のように切れ長で大きな瞳は潤み熱を孕んだまま、壊れかけた理性と必死で戦う私を見上げている。
……あぁ、ダメだ。
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