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音は無く、たまに吹く風による木々のざわめきが辺りを支配する。
ナナシ「不気味だな~……それに寒い…」
元の世界では夏だったため、俺はTシャツにジャージという格好でこの異世界に来ていた。
あの高原では丁度よかったのだが、この森の冷気は肌に堪える。
ナナシ「しかし何もいないぞ…」
まだ20分ほど歩いただけだが、木や草、土以外には何も見ていない。
何かに使う用途があるのか、一応人が通る土道が整備されている。
ナナシ「もっと奥まで行ってみるか…」
そう思った瞬間、背後から頭に何か衝撃を受ける。
ナナシ「!?」
振り返るとそこには熊がいた。
正確に言うとそれは熊のような謎の生物、体格や毛並みは熊なのだが尻尾があり、その尻尾は蛇のような別の生物だった。
熊の方は約3メートル、蛇の方は全長5メートルはあるかという巨大生物。
しかも顔の半分は頭蓋が飛び出ており、痛々しい姿をしている。
ナナシ「な…なんだこれ…」
どうやらその熊のような生物に後ろから殴られたようだった。
…が、何か柔らかいボールをぶつけられたような感触しかなく当然のように無傷だった。
ナナシ「何度も言うけどなんて便利な力だ」
パラメーターを上げていなければもう死んでいただろう。
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