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新しい包丁を持ちながら夢子に向かって行く途中、夢子の血で足を滑らした、その姿があまりに滑稽で自分の哀れさと大胆さに感情が追いつかなくて笑い転げていた。健の方に目をやると携帯電話を震える手で持っていた、美学の邪魔だけで気が済まないのかと呆れてため息が出た、同時に健は発狂に似た叫び声で頭を下げていたがそんな後頭部すら私には、石ころにしか見えなかった。 綺麗な頭の形が好きだった、友達にいうと性癖がおかしいと言われたけど、本当にこの人の部位が好きだった。くるぶしの大きさ、筋肉のスジ、喉仏の大きさ、それに大きな目…友達がみんな独特な人だったけどバーベキューとか花火大会とか色々連れてってくれたり、すごく好きだったのにな…今じゃただの粗大ゴミだ、壊れた旧型の掃除機みたいでイライラしてきた。 ドンっ、そう大きな音を立てて頭をテーブルの上にあったノートパソコンで、一振り落としてみたぐさっと入った音がしてのたうちまわるのが面白くて、もっと痛がる顔を見たくて結束バンドで両手を縛ったそして大好きな夢子の解体を痛がるあたまとまぶたとまつげの間をホチキスで留めて、ひらきっぱにした両目でみせることにした。それがあまりにおかしいから笑いが止まらなくて夢子開き解体ショーの続きができなくなった。 一度飲み物を飲もうと思ったときにひらめいた、健はいつも携帯を手放さなかった、一種の携帯依存症だと思ってたけど、本当は違ったいろんな女との連絡用だったのも知っていた、一度指紋認証解除したままおいてあったから自分の指紋認証を登録していた、ビールの中に強めの睡眠剤を混ぜて飲ませれば自由自在に携帯の中身がみれた、もちろん夢子とのやりとりも。 目を疑うような写真の数も、1度目だけはびっくりしたが増えてくことにあまり関心がなかった、だけどこの人の人生が詰まった携帯電話をみれるのが面白くて面白くてたまらなかった、平気な顔をして私を抱いて、その熱もさめないまま、夢子を抱いた日もあったのもわかってた。 そうした女が何人もいたのも知ってる。一度だけは問いかけたけど、二度は問いかけなかった、めんどくさかったから、いやちがう、心の底からどうでもよかったんだと思う。
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