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そんな事今となってはどうでもいい話で、わーきゃー叫ぶこの壊れた掃除機男にもいい加減イライラしてきて口の中に健の通報手前の画面のままの携帯電話をくわさせた、まるでなにをされるか期待の眼差しなんかで見てくるこいつの顔があまりに目障りで、喉仏に向かって一気に奥までぶちこんだ。むせるのかなって一瞬だけ顔覗き込んだけど、あんまりの勢いでよだれ垂らすから汚くて近くにあったリモコンで頭をぶん殴った、かつて愛したはずの男の顔や頭を容赦なく殴った息が絶えないくらいに… なんで、どうしてなんだって面でこっちを見るからまた苛立ちがこみ上げそうだったから夢子の解体に戻った。新鮮さ、鮮度さがなければ私の中の芸術が崩れてしまうような気がして気持ちの中で焦っていたのが分かった、1秒でも早くこのナイフを刺して刺して刻みたかった。 肋骨あたりをナイフで刺したときに一瞬だけピクッと動いたような気がして 少しだけ生き返るんじゃないかって気持ちになってイライラして夢子の心臓を先に取り出すことにした。 「世界には心臓を欲しがる人もいたのに、夢子最後には人の役には立てないのね」 そんな小言を言いながら初めてなのに綺麗に心臓を取り出せた、その優越感と達成感できっと私は今年一番の笑顔だったに違いない。恐怖におののく健の顔を横目に。 心臓を取り除くことはできた、でもそのあとは考えていなかった。だからとりあえずタッパに部分部分入れていこうと思って、タッパと油性ペンを取りに走った、まるで幼少期におこずかいをもらって大好きなお菓子を買いに走る子供のように、とても楽しくって仕方なかった。 蓋の上にしっかり名前を書きながら一つ一つしまった。 次に男を喜ばしたに違いない舌、それに沢山の男を虜にした胸、それに、人のものを欲しがるハンターの目をした眼球、サラサラの長い髪の毛。 それに夢子の心を作った、心臓を。 なんだか一つ一つの作業がとても楽しかったのが、すごい苛立ちに変わってきた。
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