春風のお茶会

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ふわんと裾の広がったレトロな小花柄のワンピースにコートを羽織ったおばあちゃんは、掃き出し窓に腰掛け足をブラブラさせ、遠くを見つめている。 「お義母さん、外は冷えて来たから、もう中に入りましょう」 おばあちゃんは無理やり立たせようとしたママの手を払い、嫌悪の表情を浮かべた。 「それなら風邪をひいてしまうと困るから、せめてこれを掛けてください」 新しいブランケットを膝に掛けようとしても、おばあちゃんはイヤイヤをするように体を震わせ、庭に放り投げてしまう。 庭に下りた私は、汚れを叩いてからママに渡してあげた。ママはお礼を口にしながらも、憂鬱な深いため息を吐く。 「まどか、少しのあいだおばあちゃんを見ていてちょうだい。古いブランケットをクリーニング店に取りに行ってくるわ」 疲れ切った顔で言うと、ママは壊れそうなほど乱暴にドアを閉めて出て行った。 でもおばあちゃんは何もなかったかのように、変わらない表情で遠くを眺めている。その目は、まるで硝子玉のようだと思う。
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