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Out of sight , Out of mind
どうしてわたしたちは離れてしまったんだろう。
彼女と出会ったのは高1のとき。出身中学もクラスも違ったけど、共通の知人を通して話をするようになった。
彼女とは趣味が合った。好きな小説やマンガやアニメの話で盛り上がった。
たぶん、わたしたちは同じような『生きづらさ』を抱えていて、それで気が合ったのだと思う。
いつだったか彼女はこんなことを言っていた。
『たったひとりでいるのと、大勢のなかでひとりきりだと感じるのと、どっちが孤独だと思う?』
そのときわたしは答えられなかった。
わたしたちは卒業するまでずっと仲良しだった。親友だと思っていた。
彼女は志望校に合格して上京し、わたしは落ちて地元で浪人生になった。
彼女からは一通の電話も手紙も来なかった。それまではしょっちゅう遣り取りしていたのに。
わたしは寂しくてたまらず、彼女を恨み、嫌いになった。
一浪してわたしは志望校に合格し、地方の都市へ移った。
その後、彼女とは同窓会で一度だけ会った。
彼女は煙草を吸い、三日月の形をした洒落たライターを持っていた。
懐かしくなって話しかけると、彼女は大人びた微笑を浮かべた。なんだかよそよそしくて、あの頃の彼女ではもうなかった。
それから彼女とは一度も会っていない。
彼女は地元に戻ったようだけど、わたしは故郷から遠く離れた場所で暮らしている。
今でも時折彼女のことを思い出す。
思い出のなかの彼女は、さっぱりした笑顔で笑っている。
さよならの理由は、結局わからずじまい──。
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