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高校2年の夏、そのころにはクリスと俺はすっかり親友だった。
クリスはその外見と学年一の優秀さと誰に対しても人当たりのいい性格で人気だったが特定のグループには入っていなかった。一方、俺はもう女子からの人気は自ら捨て去り、男子の中で行動力のある馬鹿としてそれなりに楽しくやっていた。学校にクーラー設置を望み野郎どもを引き連れて職員室に乗り込み、一蹴された輝かしい功績もある。今なら通るはずなので時代が悪かったのだ。なおその後クリスが生徒会を通して要望したら図書館だけ設置された。
ともかく品行方正なクリスとやんちゃな俺は一見接点の無いように見えたが妙に馬が合った。小学校のあの出会いから、毎日のように図鑑を見たり絵を描いたり夏の河原でよくエロ本が落ちているところを教えたら密告されて喧嘩したりもした。
基本的に二人でつるむことが多く、その日も二人で夏の暑い日に俺の家で夏休みの宿題と戦っていた。
「遊びに行かね?」
「せめて1ページは終わらせてから言え」
ノートのページを開いた途端に眠気がやって来たので提案したのだが却下された。
「いや、このまま夏が終わっていいわけがない。俺たちに必要なのはひと夏の経験だろ?」
「油断一秒怪我一生」
「やめろよこれから冒険しようって人間に言う言葉か?」
当時のクリスは潔癖だった。男なら猥談一つあれば大盛り上がりなのにクリスだけは眉をひそめて黙り込むので、そういうところで取っつきにくさはあった。
「お前はまず女子と話せるようになってからだろ?」
「やめろよ…」
痛いところを突かれて俺は呻く。
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