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「見知らぬ場所の女ならありえる」
「お前が『何コイツ』な目で見られても俺は助けない」
「それは、助けてください」
想像しただけで胸が痛む。
「嫌だ。だいたい彼女が本当に欲しいのか?」
「いいえ、エロいことがしたいだけです」
「死ねば良いのに」
軽蔑するような目で見られるが俺は反論する。
「男ならエロいことしたくて当然だろ?」
「俺にはよくわからない」
どうでもよさげに答えて、クリスはノートを見る。俺はそんなクリスを見ていた。夏だというのに全く焼けていない白い頬を汗の粒が伝った。
見てはいけないものを見た気分だった。
「暑い…」
「女よりも、クリスと付き合いたい」
このバグった発言は暑さのせいだと思う。
「は?」
ようやくクリスが俺の方を見たとき、俺はもう詰めよって肩を掴んでいた。クリスは驚いた顔のまま押し倒された。
見慣れた俺の部屋の床にクリスが寝転がっている。子どもの頃から見続けた美しい生き物が俺の下で息をしている。
それだけで段々と腹の底から身体が熱くなってくる。その熱の赴くままに、もっと触りそうになったところで腹に鋭い蹴りを喰らった。
痛みにのたうち回る俺に、クリスは冷たく言い放った。
「二度と話しかけるな」
その宣言の通り俺たちは高校卒業まで一言も話すことは無く、クリスは何も言わず海外の大学に行ったことを人づてに聞いた。
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