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「マニュアルでステーションの回転半径、回転速度に合わせて宙返りを打つ。俺なら誰よりも正確にそれができる。しかもここでは気流の乱れも全くないしな。そうすれば、しばらくポートとの相対速度はゼロになる」
『だけど、その間ずっとプロペラントを消費するだろう?』
「その通りだ。俺の計算では……それができるのは十秒、ってところだ。だが、それだけあればキャッチアップできるだろう?」
『……わかった。リクエスト アプルーブ!(許可する)』
「そう来なくちゃな!」
通信を切りかえ、早速マリリンに俺の考えを伝える。
『ほんとに? ほんとにあたしたち、二人とも助かるの?』
「ああ。俺の腕を信じろ。ただ、命綱はしっかりフックにかけとけ。いきなりG(加速度)がかかるからな」
『分かった!あたし、スキッパーを信じてるよ!』
「その代わり、失敗したら……俺と心中だがな」
『……いいよ。それなら寂しくないから』
「ま、そうならないように、頑張るさ。さ、もう時間がない。着港の邪魔にならんように、艇の真下に移動してくれ。そこで命綱を引っ掛けて、掴まるところがあったら掴まっているんだ」
『了解!』
ウインドウからマリリンの姿が消える。
「さくら2」はもう視認できるくらいの距離に近づいていた。
『クリアー トゥ ドック、リムポート03(リムポート03へのドッキングを許可する)』管制官からの指示だった。
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