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「リムポート03、コピー(了解)」
応えて俺は操縦をマニュアルに移行する。フロントウィンドウに方位計とピッチ計が表れる。スラスターは合計8か所。操縦桿、ラダーペダル、スロットルレバーはすべて地球上の航空機の機能と同じように動作する。
03と大きく書かれたリムポートが見えてきた。ドッキングアームが既に降りていて、その先が開いている。あれが俺の艇のフックを掴むことができれば、ミッション終了だ。
「マリリン、準備はいいか?」
『オーケー。移動完了』
「命綱は?」
『ロックした。確認。問題なし』
念のため、マリリンが映る位置にあるカメラで彼女の姿を確認する。彼女も何か両手で掴むものを見つけたようだった。鉄棒で懸垂するくらいのGはかかるだろうが、あれなら大丈夫だろう。
「ようし、それじゃ行くぞ……レッツゴー、ループ、ナーウ!」
俺はスティックを引く。ぐん、とプラスGがかかる。艇体はピタリとポートの真下に静止する。
だが。
どうしてもアームがフックを掴んでくれない。ポートの技官もマニュアル操作でアームを動かしているのだろうが、なかなかうまくいかないようだ。
プロペラント残量がみるみる減っていく。警告音。
まずい。
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