ドルフィンライダーの方程式

12/15
前へ
/16ページ
次へ
あと3秒、2、1…… もうダメか…… と、思った、その時だった。 『ええい!』 マリリンの声がしたか、と思うと、艇体が少しだけ浮き上がる。 「!」 それが功を奏したのか、とうとうアームがフックを掴んだ。 「マリリン!やったぞ!成功だ!」 だが、応答がない。 「おい、マリリン?」 嫌な予感がした。 俺は、マリリンを映していたカメラの映像に視線を移す。 彼女の姿は、消えていた。 まさか…… いや、ひょっとしたら…… あいつ、命綱を外して、吹っ飛んでいったのか……? それの反動で、艇体が浮き上がったのか……? 俺を、助けるために……? いつしか、俺の視界がぼやけ始めた。 バカやろう……何のためにここまでやった、と思ってんだよ……死にたくないんじゃ、なかったのかよ…… 涙がとめどなく俺の頬の上を流れた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加