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あと3秒、2、1……
もうダメか……
と、思った、その時だった。
『ええい!』
マリリンの声がしたか、と思うと、艇体が少しだけ浮き上がる。
「!」
それが功を奏したのか、とうとうアームがフックを掴んだ。
「マリリン!やったぞ!成功だ!」
だが、応答がない。
「おい、マリリン?」
嫌な予感がした。
俺は、マリリンを映していたカメラの映像に視線を移す。
彼女の姿は、消えていた。
まさか……
いや、ひょっとしたら……
あいつ、命綱を外して、吹っ飛んでいったのか……?
それの反動で、艇体が浮き上がったのか……?
俺を、助けるために……?
いつしか、俺の視界がぼやけ始めた。
バカやろう……何のためにここまでやった、と思ってんだよ……死にたくないんじゃ、なかったのかよ……
涙がとめどなく俺の頬の上を流れた。
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