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そして、俺はようやくこの手に彼女を抱きしめた。
「マリリン!おい、しっかりしろ!」
反応はなかったが、スーツ同士の緊急データリンクから、彼女の心拍と呼吸が途切れてはいないことが分かった。良かった……彼女はまだ生きてる!
「03コントロール!要救助者をキャプチャーした!大至急上げてくれ!」
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マリリンの目が開く。
「……ここは?」
「さくら2の第4医務室さ。君は助かったんだ」
俺は笑顔で応える。思っていたよりマリリンは美人だった。ただ、顔立ちには年齢なりの幼さがあった。
「その声は……スキッパーね!」マリリンが起き上がって言う。
「ああ」
「あたし……助かったんだね!良かった……」
彼女の目からみるみる大粒の涙がこぼれ始める。
「本当に、ありがとう……スキッパーのおかげだよ……あたし、死んでてもおかしくなかったのに……」
「なあに。君だって、最後の最後にやってくれたじゃないか。君が命綱のリールのロックを外して飛び出さなきゃ、ドッキングに失敗してたからな」
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