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『失礼ね。人の名を聞くなら、まず自分が名乗るべきでしょう?』
「……!」
えらく生意気な物言いだ。気に食わないが、そんなことを気にしてる場合じゃない。
「こちらはステーション管理局所属、臨時便JN1701スキッパー、加藤ヒカルだ。そちらは?」
『国連宇宙大学大学院、宇宙生物学専攻、博士後期課程1年、田中マリリン。十八歳』
「マリリン?ハイブリッドか?」
『いいえ。純粋な日本人よ。それより、スキッパーって何?』
……。
ふざけた名前だ。しかし、将来の博士さま、ときたか……しかも十八でD1となると、かなり飛び級してる。優秀なんだな。それでプライドが高い、ってことか……
「船長のことさ。これくらい小さい船ではキャプテンとは言わないんだ。それはともかく、将来の博士さまが、なんでそんなところにいるんだ?」
『これ、さくら2に行く臨時便なんでしょ?あたしも連れてってよ。明日、あっちで行われる学会で発表しないといけないんだけど、定期便に乗り遅れちゃったのよ』
……。
やってくれる……
とりあえず、俺は無視して無線をステーション通信用のチャンネルに切りかえる。
「エマージェンシー、エマージェンシー、エマージェンシー。さくら2コントロール、JN1701、アクノウレッジ(応答せよ)」
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