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連絡艇は直線運動しているのに対し、リムポートは円運動している。つまり、接触できる時間が一瞬しかないのだ。そんな短時間で艇のドッキングフックをポートのアームが掴めるはずがない。
だが。
俺はさくら2コントロールを呼び出す。
「リクエスト パーミッション トゥ ダイバート トゥ リムポート(リムポートへの目的地変更の許可を求む)」
『なんだとぅ?』管制官の声は裏返っていた。『リムポートに着港する気か?』
「アファーマティブ」
『無茶言うな! キャッチアップできるわけないだろう!』
「できるさ。俺はザ・ラスト・ドルフィンライダーの"スルー"だぜ」
そう。俺の前職は、JASSDF(Japan Aero-Space Self Defence Force:日本航空宇宙自衛隊)のパイロット。最後のT-4ブルーインパルス(曲技飛行隊)のメンバーだった。T-4という機体はその形がイルカに似ているため「ドルフィン」と呼ばれることもある。そして、T-4ブルーインパルスのパイロットはその当時、「ドルフィンライダー」と呼ばれていたのである。"スルー"というのは、JASSDF時代の俺のTACネームだ。
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