ドルフィンライダーの方程式

9/15
前へ
/16ページ
次へ
連絡艇は直線運動しているのに対し、リムポートは円運動している。つまり、接触できる時間が一瞬しかないのだ。そんな短時間で艇のドッキングフックをポートのアームが掴めるはずがない。 だが。 俺はさくら2コントロールを呼び出す。 「リクエスト パーミッション トゥ ダイバート トゥ リムポート(リムポートへの目的地変更の許可を求む)」 『なんだとぅ?』管制官の声は裏返っていた。『リムポートに着港する気か?』 「アファーマティブ」 『無茶言うな! キャッチアップできるわけないだろう!』 「できるさ。俺はザ・ラスト・ドルフィンライダーの"スルー"だぜ」 そう。俺の前職は、JASSDF(ジャスディフ)(Japan Aero-Space Self Defence Force:日本航空宇宙自衛隊)のパイロット。最後のT-4ブルーインパルス(曲技飛行隊)のメンバーだった。T-4という機体はその形がイルカに似ているため「ドルフィン」と呼ばれることもある。そして、T-4ブルーインパルスのパイロットはその当時、「ドルフィンライダー」と呼ばれていたのである。"スルー"というのは、JASSDF時代の俺のTACネームだ。     
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加