ドルフィンライダーの方程式

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ドルフィンライダーの方程式

重力が消えた。 それは、俺が今乗っている臨時便連絡艇JN1701が、リムポート02を離床(リフトオフ)したことを意味していた。とは言え、「床」と言っても俺から見たら「上」で、ポートから見たら俺の(ふね)は「下」に向かって飛んでいるわけで、全くリフト(上昇)でもなんでもないんだが、古くから宇宙船の発進は「リフトオフ」というのが習わしだった。 バックカメラの映像の中で、宇宙ステーション「さくら1」がみるみる小さくなっていく。それは4本スポークの車輪のような形をしていて、回転しながら人口重力を作っているのだが、今の俺の位置からは縦になった細長い長方形にしか見えず、その中を一瞬前までこの艇と俺をつなぎとめていた、リムポート02の明かりが下から上へとゆっくりと昇っていた。     
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