『立憲的改憲(山尾志桜里)』

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なぜ宰相は「戦後レジームからの脱却」をしたいのでしょうか? 「A級戦犯容疑者の孫」と言われ続けることが癪に障るからです.推測ですけどね. このままではGHQが祖父に掛けたA級戦犯容疑は永久に晴れない、と思っているのでしょう.内心忸怩たるものがあるのです.推測ですけどね. だけど、直接的には反論が出来ませんよね.実際に戦争責任があったにも拘らず有耶無耶にして責任を取らなかったことは、国民みんなが知ってますからね. それならいっその事、戦争犯罪があったという歴史自体を、戦争犯罪は全く無かったという歴史に変えてしまえば良いと考えたのです.GHQが押しつけた政治体制から脱却すれば、そこに含まれているA級戦犯問題からも自動的に脱却できる.多分それが本心だと思います. それこそ本当に本心から「戦後レジームからの脱却」を考えているならば、在日米軍の問題を避けて通れるわけはありません.けれども、在日米軍の既得権まで変更しようとすると、痛い目に遭わされるので、取り敢えず基地とか協定とかは知らんぷりしている.まぁそう云う事ですね. それでは在日米軍の事を不問にしておいて、どこを脱却するかというと、9条を昔に戻すとか、修身とかの教育科目を昔に戻すとかだけで戦前は正しかったことにしておいて、だから祖父は正しかったのだ、だから戦犯なんかじゃないのだ、と言い張る.まぁそういう事ですね. その程度の憲法改正をいう宰相のまわりに集まって支えているのが、利益追求を目的としている大企業とか官僚なのだと思います.兵器の製造輸出を促進するために9条を改正したい防衛企業とか、原発を製造輸出したい重電メーカーとか、消費税増税するなら誰でもいいと考えている財務官僚とかですね.重要なのはこの人達ですよね.宰相自体は小物ですが、支持者に力があるので、強い. ▲チョット引用します. (P65)・・・憲法改正の国民投票というのはテーマごとの二択、三択ではなくて、一つの選択について賛成か反対かという問い方です. 今の政治状況であれば当然与党提案のものが一択として載るわけです・・・ (P81)・・・安倍政権は改憲に向けて粛々と歩を進めてくると思います. 森友・加計問題があり、公文書改竄があり、日報の隠蔽があり、それでもなお支持率は下がってない・・・ ▲引用を終わります. 現状から考えると、9条改正の国民投票をすれば、与党の顔色を窺うメディアの宣伝に国民は引き摺られて、政権与党にとって都合の良い憲法改正になると思います.国防軍を創設するとか、米軍と一体となって軍事行動をするとかが合法化されるでしょう.自衛隊は在日米軍の傭兵部隊であることを憲法が保障することになりますね. だから今は兎に角、ひたすら護憲に徹すると云う考え方も分からないではないですが、護憲を主張しても、しなくても、結局は与党の主張が多分実現すると思うのです.護憲派は少数ですからね. しかし、だからこそ、現政権に改憲の前例をつくらせたらいいと思うのです. なぜなら、そうすれば、もっと大事な国民主権についての議論を始めることができるようになると思うからです.つまり、改憲の前例ができたら、次は共和制に移行する改憲論議にステップを進めていけると思うのです.9条は元に戻したかったら戻せばいいだけのことだと思うのです. ■チョット引用します. (P181)・・・朝鮮戦争は現在も「休戦状態」なので、朝鮮国連軍は健在です.在韓米軍司令官が朝鮮国連軍司令官を兼務しています. 日本にも朝鮮国連軍の後方司令部が横田基地に置かれ、七つの在日米軍基地が朝鮮国連軍の基地になっています. 日本政府は、朝鮮国連軍に参加するアメリカ、英国、フランス等の12か国と「朝鮮国連軍地位協定」を締結しています.日本が署名した1954年以来変わっていません. 1953年に結ばれた朝鮮戦争の休戦協定の当事者は、朝鮮国連軍(アメリカ)と朝鮮人民軍(北朝鮮)と中国人民志願軍(中国)です. この休戦協定が破られ再び戦争状態に入ったら、在韓米軍も韓国軍も在日米軍も朝鮮国連軍に組み込まれて戦うことになります.日本は朝鮮国連軍地位協定に基づき、朝鮮国連軍の作戦のために支援を行うことになります. つまり、米朝開戦になったら、日本は自動的に国際法上の「交戦国」になります. 日本に交戦国にならない主体性はないのです・・・ ■引用を終わります. まず共和制にすることが重要だと思います.そのあと必要ならば、共和制の下で国民を守る為の軍隊を持つことを考えたらいいのじゃないかなぁ. 君主制の下で国防軍を持っても、結局君主の威光の裏にいる特権階級と在日米軍の既得権を守る軍隊になるだけですよ.僕はそう思います. 現時点で与党の改憲議論に乗ることが短期的に現政権を利することになったとしても、嫌なら再度でも何度でも改憲すればいいわけだし、僕的には、改憲議論は歓迎ですね.もっと先の未来を見たら面白いと思うのですけどねぇ・・・ ●著者の山尾志桜里と井上達夫教授の対談から、井上達夫教授の発言をチョット引用します. (P261)・・・日本が保有している現実の戦力と憲法との矛盾. これを放ったらかしにしたままでは、他のどこをどういじっても日本の立憲主義は本物にならない. 憲法を尊重する国民の精神を培うためには、この最大の矛盾を是正してからでなければ、ほかのことをやってもあまり意味がないと私は思っています. だからまず優先課題として9条がある・・・ ●引用を終わります. いやー、違いますね.憲法で国民に主権があり、平等と言いながら、君主制であることが最大の矛盾ですよ. それから更に、在日米軍に現実的な主権があるなんて、無茶苦茶でしょ.占領下ですよ. これらを是正するのが最初に考えることです. この教授は法哲学を専攻したと云う事ですが、いまいちですね. (了) ―― 奥付 ―― 読書感想文『立憲的改憲(山尾志桜里)』 著者:茜町春彦 読んだ本の題名:立憲的改憲 著者:山尾志桜里(ちくま新書、1000円税別) 発行:2018年8月10日第1刷
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