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そうレリーフの竜に囁きかけた瞬間、轟音が霊廟に響き渡った。
僕の灯花たちが蒼く瞬き、りぃんりぃんと激しく音を奏でる。
「何っ!?」
大きく天井がゆれ、ドームの一角を崩して、何かが霊廟へと落ちてくる。瓦礫とともに落ちてくるそれを見て、僕は大きく眼を見開いていた。
卵だ。
僕の頭ほどもある大きな卵が、蒼い光に照らされながら霊廟へと落ちてくる。
僕は卵へと駆けていた。落下する瓦礫をすり抜けながら、僕は卵を抱きしめる。
あたたかい。
体に温かなぬくもりが広がっていく。驚いて眼を見開いた瞬間、僕は仰向けに倒れ込んでいた。
星空が、見える。
砂粒のような星々が、夜空を覆いつくしている。その光景を穴の開いた天井から僕は眺めていたのだ。
その星空を泳ぐ、巨大な陰影が幾つもあった。
巨大な竜の影が、星空を優美に泳いでいる。その竜たちが泳ぐ星の海を蒼い地球が優しく照らしているのだ。
「きれいだ……」
夜空を眼にして僕は呟いていた。じわりと眼が滲み、僕は静かに涙を流していた。
どうして、泣いているのかわからない。でも、涙は後から後から流れてきて、僕の頬を濡らしていく。
とくりと心音が聞こえて、僕は我に返る。
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