第4章 入学式

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「うわ、しまった。寝てた!」  ボストン・ジェネラル・ガーデンで俺は起き上がった。  時計台の前で休憩しようとパンをかじりながら木の根元の芝生に座った。  鳥にパンを上げてたら鳥がいっぱい集まってきて、それから……。  そのまま横になって寝てしまっていたらしい。  周囲には鳥がたくさんいた。  コマツグミは明るい鳴き声でさえずっている。ハゴロモガラスは優雅に飛んでいる。羽の一部の赤さが綺麗だ。滅多に地上には下りて来ない貴重なフジイロムクドリまでいる。  人間は俺しかいないから、下りてきたんだろうか。  起き上がった俺の肩にアカフウキンチョウが乗ってきた。随分と人懐っこい。  スズメが頭に乗ってきた。こっちも随分と人なれしている。  鳥が懐くのはいつものことだけど、やっぱり何だか嬉しい。  チュンチュンとあちこちから軽やかな鳴き声が聞こえてきて、また眠りにつきたくなる。  それにしても、鳥のハーレムで寝過ごしてしまうなんて。最後の最後で失敗してしまった気がする。せっかくアメリカ大陸を横断してきたっていうのに。  ああ、もう朝だ。
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