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「いや、違うよ。ただ月を見てただけ」
「うん。それならいいの」
「君は何をしてるんだ?」
「僕? 僕は満月に呼ばれたの」
微笑んだ顔は寂しそうだった。
何故だろう、心許なくてすうすうする感じ。
どこか懐かしいような気がして、ノアは少年をじっと見つめた。
少年もノアを見つめ返す。
「君はだれ?」
「僕はルーシェン」
ふしぎな音の名前だった。
外国人かもしれない。
少年の顔立ちは東洋風のエキゾチックな雰囲気だった。
それなのに、その名にはとても、とても懐かしい響きがある。
いつかどこかで聞いたような…。
夢の中? 小さなころの思い出の物語?
「ルーシェン?」
「そう」
「ルーシェンはどこから来たんだ?」
「…すこし遠いところから」
やはり外国人らしい。
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