いつか見た光のなかの……

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夜明け前の海辺で、ノアは目を覚ました。 穏やかな波の音が聞こえる。 もうすぐ朝日が昇る時間。 どうしてこんなところにいるんだろう? ゆっくり身を起こして周囲を見回した。 白い砂浜が美しい海岸だった。 二日酔いなのか微かに痛む頭を振って、昨日のことを思い出そうとするけれど、あまりうまくいかなかった。 きっと酔ってドライブした挙句、適当に走ってまた海まで来てしまったんだろう。 山育ちのノアは海なんてろくに見たこともないのに、酔うとなぜか海が恋しい気になって、車を飛ばして海岸に来てしまうのだ。 まるで何かを探しているみたいに。 見えない誰かに呼ばれるみたいに。 昨夜、誰かと会話した気がするけれど、思い出せない。 なんだろう、とても懐かしいようなやさしい気持ちが残っているのに。 立ち上って砂を払っていると、今日最初の日の光がノアに届いた。 明るい光のなかに誰かの面影を見た気がして、ノアはしばらくの間、朝日を浴びて海に向かって佇んでいた。 完
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