240人が本棚に入れています
本棚に追加
「うーん、まだそういうわけじゃあ……」
由奈の反応に私は言葉を濁した。
「もう5年だよ? 5年。あの時いくら鈴のこと好きだったからって、7年もたってるんだよ? 昔好きだって言ってくれた男が今も自分を好きだなんて、思わない方がいいと思うけど」
由奈の言葉にフライパンを揺すっていた手が止まる。
……ほらね。
由奈は私に気を遣ったりしない。
オブラートに包んだ言葉なんか言ったりしないのだ。
だから、怖かった。
由奈から言われたら、
私の期待が現実離れしていることを実感してしまう。
わかっていたけど、
やっぱり辛い。
でも、由奈は私の親友。
私の気持ちをわからないはずがない。
「でも……可能性がないわけじゃないけどね」
一瞬だけ、二人の間に沈黙が広がった。
「……どうだろね」
私は小さく言って、焦げそうなチャーハンを手早く混ぜた。
最初のコメントを投稿しよう!