第二話

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 都に戻って間もなく、董卓将軍の敗走の知らせが都である洛陽に届いた。やはり、董卓自身が懸念していた通りに事が運んでしまい、敗走したのだという。  そしてまたすぐに後任が決まる。それは各地の黄巾族の討伐で最も功績を挙げていた「皇甫嵩(こうほすう)」将軍だ。曹操は、皇甫嵩将軍の下で功績を挙げていたとか。  そして結果は、皇甫嵩の大勝利。黄巾の乱を鎮圧するに至った。  実直で決して驕らず、民を労り、頑なに堅実であった皇甫嵩には当然の様に人心が集まった。しかしそれを恐れ、折り合いの悪かった宦官らは難癖をつけて彼を追放してしまった。腐るところまで腐ったな。誰しもが抱く感想がそれであった。  その後、功績を挙げた曹操は皇帝を護衛する近衛兵の隊長の一人に、袁紹は名門の力もありその隊長らをまとめる将へと昇格した。  そんな中であった。正史に残るだろう一大事件が起きたのは。 『十常侍の乱』当時の大将軍「何進(かしん)」と袁紹が起こした事件だ。  大将軍に取り入った袁紹が最初に目指したのは宦官の根絶やしだった。名門の生まれとして、宦官に実権を握られていたことが、長い間彼の心に深く傷をつけていたのだろう。  袁紹に唆された何進は、各地の群雄に招集をかけ、その兵力を背景に宦官を脅して掃討するという計画を立てた。 「兄貴は、復讐のことしか考えてない。宦官の排除は近衛兵だけで十分なのに、これじゃあ新たな脅威を都に招き入れるだけだ」  二人で会うと、曹操はいつもそうやって愚痴をこぼした。  そして、時は急に訪れる。  身の危険を感じた宦官の長達の「十常侍」は、大将軍の何進を暗殺。それに激怒した袁紹は、近衛兵全軍を率いて皇帝の屋敷である宮殿に入り、宦官の虐殺を開始した。しかし十常侍はそんな混乱の中、まだ幼い皇帝を連れ都の外へと逃げだしたのだ。  その皇帝を救い出したのが、号令に際して逸早く駆け付けていた董卓将軍であった。
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