第二話

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「儂が、最高官位の『丞相』になろうとは。全く人生とは分からんな、張バク殿」 「混乱の中から陛下をお救い致したのです。恥ずかしながら、近衛兵達は結果として陛下の御身を危険に晒してしまいました。したがって最もの功績者は董卓将軍の他にいません。胸を張って下さい」 「覚えておるか?儂の語った夢を。所詮夢だと思っていたが、今はそれが手に届きそうなところまで来ている。お主がおれば心強い、世を正す為に協力してくれ」  正装がむず痒いのか、董卓は大きな体をすくめて張バクに照れた笑みで頭を下げる。 「そんなっ、頭を上げて下さい。宦官に流浪にされてしまった役人にも優秀な人材は多々おり、中でも『王允(おういん)殿』『蔡邑(さいゆう)殿』の才は抜き出ています。そういった優秀な人材を用いて政治を行って下さい。微力ながら、私も尽力しましょう」  頭を上げた董卓は、大きく笑った。
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