乾杯 #2

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身構えたはずの心臓は、 準備が足りなかったらしい。 ドクドクと激しい鼓動が私を襲う。 「……え?」 『何を?』と、いう言葉を私は飲み込んだ。 私を見つめる健吾くんは、 目が合った瞬間は確かに真顔だった。 健吾くんと視線がぶつかった途端、 顔の中心から耳の端まで熱が広がる。 私の顔の温度変化を察したのか、健吾くんが笑顔をつくる。 「……冗談だよ。今日、こうやって会えただけで、もったいないくらいのご褒美だよ」 健吾くんは「もう一回乾杯な」と、私の握るグラスに自分のビールグラスを再び合わせた。
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