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健吾くんのグラスが空になりかけた頃、
彼は何かを思い出したように急に無邪気な顔つきになった。
「リン、アレ覚えてる?」
「アレ?」
「高校ん時にさ、売店で売ってた変なジュース」
「変なジュースって……。あ、ホットグレープ!?」
「そうそう、それ。あの味、懐かしいんだけど、あれから出会うこともなくてさ。てか普通ないよな? 思うんだけどさ、アレってホットワインに近いんじゃねえかな?」
「……あ、うん、そうかも。私、飲んだことないからわかんないけど、なんとなく」
そこで健吾くんは何を思ったか、バーテンダーにホットワインが出来るかどうかを尋ね始めた。
バーテンダーはにこやかに微笑んだ。
どうやら次の飲み物はホットワインに決まったらしい。
健吾くんはバーテンダーに「彼女が飲みやすいように」と付け加えていた。
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