乾杯 #2

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先に駅に着いたのは私の方だった。 健吾くんがどんな車か知らない私は、 ヘッドライトが光る度にそちらへ顔を向けていた。 私の前でスピードを緩める車に思わず一歩足が出たが、 車は私の前をゆっくりと通り過ぎ、 少し先にいた学生を乗せて去っていった。 緊張と落胆が交互に押し寄せる。 我慢が必要だとは思ったが、 履き慣れないスカートは思った以上に身体の体温を奪った。 膝に当たる風は冷や水のように冷たく、 時折膝をさすりながら寒さを紛らわすために小さく足踏みをした。 駅の時計台の針は8時5分前をさしていた。 一台の車のヘッドライトが私に当たり、 眩し気に顔をそむけるとその明りは小さく絞られた。 大きなカーブを描いて黒のRV車が私の前に停車した。 一瞬覗いた横顔に足がよろけそうになった。 運転席のドアが開いて、運転手が降りてきた。
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