乾杯 #2

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私たちは賭けをしておきながら、 歩道の横を走る車になんかまるで興味がないように、 ヘッドライトの明かりから目を背けていた。 だいたい何を賭けるかも決めていなかった。 これだから酔っ払いの話は当てにならない。 だけどそんなことは気にもせず、 私たちははしゃいだ足取りで駅に向かっていた。 火照ったカラダは寒さを寄せ付けず、 見上げる空に浮かぶ星たちは、 小さな(またた)きで私たちの再会を祝福してくれている。 運命の神様が 私にも微笑んでくれた。 そう思ったのに。 神様は 微笑んだフリして 笑いをこらえていただけだった。 神様は、 私にはどうしても優しくないらしい。 笑いをこらえて まさに、このタイミングを待っていたのだ。 星たちのささやきにも、二人の息遣いにも容赦なく、 深夜にスマホの着信音が鳴り響いた。 どこか場違いに思えるその音が 浮かれる二人の足取りを止めようとしていた。
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